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IT教育の問題について考えてみた 新人教育偏 その2

  • Posted by: Nakunaru
  • 2010-06-27 Sun 10:18:08
  • IT教育
前回> IT教育の問題について考えてみた 新人教育偏 その1

会社の問題

・問題その1 求める社員像が決まっていない。もしくはずれている

いい加減に決めた(大抵は例年通りの)カリキュラムで、適当に決められた
講師が適当なセミナーをやっていて経営者がなんとも思わないのは、社員に
どういうふうに成長してもらいたいのかといったビジョンが経営者陣にないからです。
いや、経営者が求める社員像を持っていないなんてことは無いはずなんですが、
それはメンタルな部分ばっかりの理想なんですね。
「何事にも前向きに対処できる人間」とか、「◯◯マンとして恥ずかしくない態度で行動できる」
(◯◯には会社の名前が入る)とか。
ですから新人に対する教育の指針も、「何事にも前向きに対処できる」ようになるための教育とか
、そんな指示が教育担当に下っていくわけです。

技術で食べている会社、あるいは技術で食べている部門を抱える会社の経営者陣でも
この程度にしか考えていない方がとっても多いように見受けられます。

その結果、こんなざっくり過ぎる指示を受けた教育担当者は、「前向き」だとかそういう
メンタルな部分はマナー研修や、毎日提出させる日報などへのコメントなどで対応する程度
でよいと考え、カリキュラムの選定は現場の意見を重視するようになります。
つまり、いま現場ではJavaの案件が多い、ということであれば、じゃぁJavaやろうかとか、
DB技術者が足りないんだったらDBちゃんとやろうとか。
そして、どの程度のレベルでそれらのカリキュラムを実施するかというと、現状の現場で
必要な技術レベルの数段下のレベルで実施しています。
細かいことは現場で学んでもらうから、少なくともその入口に立てるように基礎だけ勉強してねと。

この考え方自体は悪くないのですが、ここで大きな問題として、
教育カリキュラムのレベルが、現状の現場のレベルを超えることはない
という点です。

例えば、近年大手のSIerでは、コードが書ける技術者を育てておらず、マネジメントばかりをやっていた。
その結果、内製する力がなくなり、競争力が下がってしまったということで、改めてコードが
書ける技術者を育成する方向へ向かっています。
でもこれは経営者陣が、レベルを上げろと言わなければ出来ないことなんですね。
コードを書かず、マネジメントだけをやってきた人たちが、コード書ける人間を育ててくれとは
なかなか言いません。
これは経営者陣が将来の会社の社員達が、どういうスキルをもっているべきなのか、具体的な
ビジョンを持っていなければならないということです。



・問題その2 予算がすくない

会社の経営者層の方々が、社員の教育に熱心じゃないことが度々見られます。
社員はそれぞれの仕事に必要なスキルを勝手に習得し、勝手に成長して
勝手に稼げる人材になってくれればよい、なんて考えている経営者さんはいませんか?

確かに勝手にお金を稼げるようになってくれればとても助かるんですが、それなら
お金を稼げる人財を、それなりの報酬で引っ張ってくればいい話です。
新卒を安い給料で採用して、さー勝手に成長してくれたまえ。というのは無理があります。

もちろん、何は勝手に成長する人もいます。
もともと、新しい技術を習得するのが好きで好きでしょうがないといった性格の人であれば
日々の業務の中で、また日々の業務を終えたあと、自宅で勝手に勉強するでしょう。
採用担当者には、是非こういった人間を探し出して採用してもらいたいものです。

ですが、こういった人間はとってもレアなケース。極稀にしかいない大当たりな人財。
うちの会社に来てくれたなんて、なんて勿体無いんだ。
と考えるべきです。
技術者たるもの、余暇の時間を使って技術を磨くのは当り前、というのは技術者が自己啓発の
ために言うのはアリですが、経営者がそれを言うとブラック会社に認定されちゃいます。
社員の給料は、勤務時間内での活動に対して支払われているわけですから、勤務時間外に
会社のために無給で勉強しろとは言えません。

個人が新しい技術を習得するには、コストがかかります。
研修を受けるコスト。家で学習する時間も、学習する本人にとっては大事なコストですね。
会社として、新しい技術を習得した技術者を増やすのも同じことです。
研修を受けさせるコストを支払うか、学習するための時間を社員に与える(時間的コストを払う)
か、いずれにしてもコストがかかります。

社員に勝手に成長しろというのは、社員が個人で支払ったコスト(学習時間など)を会社がタダで利用しようとする行為です。
コスト泥棒。最近よく聞く言い方にすると、搾取ということになります。

ここで、労働環境がどうとか、搾取するとかされるとかそんな話をしたいわけではなく、
技術者の成長には、ごく一部のレアケースを除いて、会社としてのコスト負担が不可欠だと
いうことを理解して頂きたいのです。
技術を売っている会社ですから、その商材を仕入れるのにお金を払うのは当り前ですよね。

そういうわけで、新人教育にも十分な予算をかけなければ、十分成長してくれることは
期待できないわけです。

では、その予算をどこにかけるか。

講師とカリキュラム選定にかけるべきです。

新人教育の間、新人と一日中接しているのは講師です。
その講師に、教育の素人である手すきの社員を割り当てるのは、プロ野球の試合に
プロのサッカー選手を出すようなものです。
例えばJavaがどれだけ得意でも、モノを教えるという技術の素人では効果的な教育はできません。
教育は教育のプロにまかせるべきです。
ただし、講師によって得意な分野、不得意な分野があります。
DBは得意だが、言語系はできないとか、Javaは知っているがCは知らないとか。
プロの講師は、テキストさえあれば、知らないことでも知っているかのように講義できてしまったりするので、「◯◯のセミナーはできますか?」と聞くと、大抵「おまかせください」と
返ってきます。
講師を探すときは、その分野のセミナーで評判の良い講師を探すようにしましょう。

講師の探し方もいつか別エントリにまとめたいと思います。


それから、カリキュラム選定にも可能であれば予算をかけたいところです。
求める社員像が明確になっていても、どのようなカリキュラムでそれを実現すればよいか
経営者や教育担当者では決められないことが多いでしょう。
ですので、教育カリキュラムのコンサルティングを外部企業へ委託するのも一つの手段です。
ただ、教育コンサルは結構な費用がかかるのがほとんどなので、予算削減の手としては、
講義を依頼する予定の講師に、カリキュラムの相談をするという方法です。
ある程度の経験を持つ講師は、どのようなカリキュラムが効果的なのかのノウハウを持っていることが多いです。
ですので、セミナー講師の依頼をするにあたって、カリキュラムの相談をしたい、なんていう言い方で相談すれば、それなりのアドバイスを貰える可能性が高いです。
その代わり、あくまでも相談レベルですから、丸投げはできません。
ある程度のカリキュラムの予定を作ったうえで、もっと効果をあげるために変更するべき点がないかアドバイスを求めるといったスタンスになります。


と、ったわけで、会社として教育をどう考えたらよいかいう話でした。
続きはまた今度。




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